星降る夜に。
「お義母さんにドレス選び手伝ってもらえるから助かる。私一人じゃ悩むと思うもん」


「アレもコレも着せたいってなると思うから、気に入ったものがあれば早めにそれにしたほうがいいよ」



結婚までもうすぐ。

この人と一緒になって、家庭を持って、家族を作っていく。

自分が生きる場所を、帰れる場所を作っていく。



「莉子、ワイン飲まない?スパークリングなら飲めるでしょ?」


「うん、飲もうかな」



ふと、あのお酒のことを思い出した。
“男に勧められて飲んじゃいけない”、ロングアイランド・アイスティー。

もう二度と飲むこともないだろうし、あんな経験もすることはないのに。


目の前のグラスに注がれていく淡いピンク色の液体よりも、あのお酒の色や味までも思い出して飲みたくなるのはどうしてだろう。



そうだ。大輔さんの名刺、どうしたっけ…。



「どうかした?」


「えっ?何でもない。ぼーっとしちゃって、ごめん」



あのとき大輔さんは私のベストのポケットに名刺をねじ込んで、私はそのまま帰ったんだっけ?
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