星降る夜に。
「夜に見たの初めて。こんなに綺麗なんだね」


「今度はスカイツリーに行くか。俺、まだ行ったことないんだよ 」



隣にいる大輔さんを見上げると、優しい笑顔をしていた。

手を伸ばさなくとも触れるくらい近くにいるのに、大輔さんが私の手を握ってくれたらいいのに、お互いにそれが出来ない。


彼は私に触らないと言った。あれから実際に一度も触られていない。



「どんな夜景を見ても、やっぱりあのリゾートの夜景には勝てないんだよな。手を伸ばしたら届きそうな気がしたもん」


「私も思った。空一面に星が輝いて、降ってきそうだったなぁ」



私たちの近くにいるカップルたちは皆、しっかりと手を繋いだり、腕を絡ませたり、腰に手を回したりして寄り添っている。


私と大輔さんはどんな風に見えているんだろう?


カップル?友達?それとも夫婦?


バカなことを考えている自分に気づいて寂しくなったとき、大輔さんが私の顔を覗き込んだ。



「ちょっとだけ約束破ってもいい?」
< 90 / 171 >

この作品をシェア

pagetop