【完】宝探し―世界で一番愛しい人は―

寂しい会いたい



遂に夏休みが終了し
新学期が始まった。


夏休みは終わったものの依然として暑さは休みを知らない。


また日常が始まる。


"いつも通り"を念頭に置いて

私は学校へと歩みを進めた。


ああ

早く、早くキノに会いたい。


他愛のない会話をしたい。

キノの笑顔がみたい。


元気なキノに

早く会いたい。


だんだんと小走りになって、額にうっすら汗の感触を感じる。


学校につくと私は急いで教室に向かった。


この廊下を抜けて

教室に入れば

キノはきっといつものように机に突っ伏してる。


私が隣の席に座れば

おはようって

突っ伏したままこっちに笑顔をくれる。



ドキドキと高鳴る胸を押さえながら

私は教室のドアを開けた。

だけど

その先にキノの姿はなかった。


期待を予想外に打ち砕かれて、私は一瞬にして頭が冷めた。

どうして考えなかったんだろう


まだあれからちょっとしかたってないんだから。


まだ休むってことも十分あり得るはずなのに。



まさか、精密検査で引っ掛かるなんてこと

あるわけないし。



…ないよね、うん。



キノは来ないまま始業式が始まり一時間目の前半をくい込んで行われた。


キノが居ないまま

日常が始まってしまった。

始業式が終了し教室に戻ると残りの一時間目はショートホームルームの時間になった。


先生はまた今日から気を引き締めるようにとか、今日の課題テストの準備できてんだろうなとか

夏休み明けらしい話をしたあと

こんなことを口にした。



「夏休みも終わったことだしな、
今から気分一転席替えでもするか!」


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