【完】宝探し―世界で一番愛しい人は―
「……」
「あれ、ここ?」
躊躇わずインターホンをならした。
なかなか出てこなかったので二度押した。
すると中から足音がした。
「はーい」
聞き覚えのない女性の声と共に、扉が開かれた。
そして案の定見知らぬ女性に不思議そうに見つめられ、私は唖然としてしまった。
エリちゃんも察したように苦い顔をしている。
「…どなた?」
「…すみません、間違えました…」
頭を下げながら謝ると、横からエリちゃんが口を挟む。
「えと、新しく引っ越してこられたんですか?」
すると、その女性は、あっと声を出すとにこりと微笑んだ。
「もしかして、真の知り合い?」
聞き覚えのある名前。
一瞬ドキッとしたあと、頷こうとすると、女性の後ろから本人が顔を出した。
「あ、冬ちゃん!」
「ま、真、さん、」
「久しぶりだね。どうしたの、上がっていきなよ。」
ほらほら、と促されるが一瞬躊躇した。
「……あの、キノは…」
「え、聞いてない?」
「…先生に聞きましたけど」
「あぁ、そうか。まあ、ゆっくり話そう。上がりな。そこの子も」
「ありがとうございます!」