恋人は高校生組長
目の前に立っていたのは、背の高い男子生徒だった。

目元が爽やかで、整った顔立ちをしている。





確か名前は……







「俺は、黒坂桂吾」




にこやかに、彼は名前を名乗った。

そうそう、確かそんな名前だったっけ。


『桂吾』『桂吾』って、男子からも女子からも親しげに呼びかけられてる。





「知ってるよ。3組の委員長だろ?」

「あぁ」

「ついでに、秀才でバレー部のエース」



噂でしか聞いたことがない話ばかりだが、実物を見ると全て本当に思えるから不思議だ。



「ははっ、まだ『エース候補』の段階だけどね」



爽やかな笑顔が、ちらっと誇らしげに輝く。




あー、いるいる、こういうやつ。

謙虚ぶってるくせに、実は自信家。




なんかいけすかねぇな……

微妙な不愉快を感じながら、俺は桂吾を見上げた。





「……で、何か用?」
< 159 / 406 >

この作品をシェア

pagetop