手の届かないキミと
そのとき、ふいにハルくんが私を離し、海の中へぼちゃんと消えた。
「?」
ゆらりと海中を泳いだハルくんは、私から少し離れたところで海面から顔を出す。
「…行くぞ。浜辺。」
いつものハルくんらしくなく、もごっとそう言うと、浮き輪のひもの部分を持って泳ぎだした。
ハルくんの力でぐんぐんと浜辺に近づく中、私はずっとハルくんの背中を見つめていた。
ハルくん…
私みたいな子には、一生見つめることしかできない背中だ。
手の届かない背中。
でもそれはいま私の目の前にあって、手を伸ばせば届くところにある。
それでも…