手の届かないキミと


「ハルくん、ズルい…!」

ひとの身体を揺らすなんて、ずるだ。

むっとハルくんを睨むと、ごめんごめんと心のなく謝ってくる。

でもその笑顔もやさしくて、好きだから…許してしまうのは惚れた弱みってやつなのかな。


「今度はズルなしだからねっ」

「わかったよ」


仕切り直しで第2回戦。

ハルくんがズルしたとはいえ、負けは負けだ。

火種の上の部分が細くなっていて、どっちみち、ハルくんのより先に落ちてしまっていただろうから。


ふつふつと、耳を澄ませば聞こえてきそうなくらい、線香花火の火種は赤く丸く染まる。

あ…今度のは良さそう。

ぱちぱちとはじけるのも、心なしか、ハルくんのやつより大きい気がする。

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