コンビニ砦の戦い(仮題)

木本さんがお前達の名前はなんて言うんだと聞くと上野だ上野兄弟だと答えた。


そう言えば似ていた。


木本さんと二人で財布を探ると免許証が出て来て確かに上野って名前だった。


木本さんから強烈な膝蹴りを二人は喰らうと逃げ出した。


いやはや、色々ありますなと木本さんが笑った。


ヤクザか絡むとなると面倒なのだろうが、根本はそこに無いような気がして僕はそれを木本さんに話した。


木本さんも根本の悪はヤクザではないでしょうねと答えた。


病院に戻ると樋口さんが嬉しそうに話しかけて来た。


「山本さん、早ければ明日でも戻るみたいよ。演技したのね。」


木本さんと二人でそれは良かったと喜んだ。


そして、今日の事を話すと皆が暗い顔になり納得行かないなあと言った。


そりゃ納得行かないだろうなだったが、街はそういう所なのだと思うしかなかった。


街と言うよりここの体制はそうなのだと僕も皆も思った。


山本さんが、戻ればと思いかけて僕はいつもそうやって最後は人に頼るなあと嫌になってしまった。


僕は皆に少し散歩に行くと言って外に出た。


歩いていると小さな昔風の喫茶店を見つけて入った。


喫茶店ではクラシックが、流れていて落ち着いた雰囲気だった。


多分焼け残った昔からの店だろうと思えた。


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