愛してる人 ~Only you~
「一華、今日陸部の見学に行くから、先に帰ってて!」
そう言って私の席にやってきたのは、木村 梨子。
中学からの親友。
今朝も掲示されたクラス表を見て、二人ではしゃいでた。
「梨子、やっぱり部活やるんだ」
梨子は中学の時からとっても走るのが早くて、全国大会に毎年出場していた。
そっか、高校行っても部活するって言ってたもんな。
梨子と別れてから、一人家に帰ってたとき、女の子が泣いていた。
「どうしたの?」
「うわーん。風船が、大事な風船が木にひっかかっちゃったの~」
この木・・・
ふと上を見上げると、高い木に風船がひっかかっていた。
高いな~、けどこの子泣いてるし、かわいそうだよね。
よし!佐々木一華、腹をくくります!
「ちょっと待っててね、お姉ちゃんが取ってあげるから!」
とりあえず・・・よいっしょ。
私は、足を踏み外さないように幹にあしをかけて風船に近づいた。
「おっと。よし、とれたよー!」
そういって女の子がいたほうを見た。
げっ、高い!!この木ってこんなに高かったの?!
お、おりれない~。