恋のカルテ

「……あ、そうだ。これも預かってきたんです」

ストラップを掴んでポケットから取り出した。

すると佐伯先生は、それを受け取りながら苦笑いを浮かべる。

「わざと置いてきたんだけど、どうして持ってきちゃったかな。今日は当直でもオンコールでもないんだよ。これがあるとひたすら呼ばれまくる訳」

「すみませんでした」

反射的に謝る。

「まあ、いいけど。続きは今度ってことで許してやろう」

「……つ、続き?」

驚いて目を見開く私を軽く笑い飛ばすと、PHSの通話ボタンを押した。

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