恋のカルテ

院内へ入ろうと職員入口を目指す。

するとそこから出てきた人物に、私は自分の目を疑った。

だって、そこにいたのは別の病院へ当直のバイトに行くと言っていた佐伯先生だったから。

「……佐伯先生?」

確かめる様にその名前を口にすると、私に気が付いた先生は驚いたように目を見開いた。

「あ……、高原」

「どうしてこんな所にいるんですか? 今はバイト中のはずですよね」

まるでウソがばれた子供がするみたいにヘラヘラと笑う先生を、私は思い切り睨みつける。

「そんな怖い顔するなよ。せっかくのかわいい顔が台無しだぞ?……で、どうだった講演会。ためになったろ?」

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