A voiceprint

8 事件の伏線

シークレットライブ当日。会場には開演二時間前だというのにすでに百人以上のお客がすでに待っていた。何をすることもなく早く会場入りできるのを心待ちにしていた。

 一時間前に中が開いた。客がぞろぞろ入っていく。ライブに招待された人は六百人の予定だったが、すでに五百人近くは待っていたために、外の広場がものすごく込み合った。そのため45分前に開く予定だったのが、少し予定より早く開けたのだ。

 しかし、実はnatuはまだ会場入りしていなかった。予定では20~30分前に到着してリハーサル無しで本番に向けるのである。それほどハードスケジュールなのである。良太もレコーディングが延びて開演ぎりぎりに到着だろう。

 ライブ会場の中で女子高生仲間は今日は唯・静子・羽美の3人で前の方を立ち見で準備万端。今回は指定席無しの立ち見のみのライブなので、この3人組は実は4時間前から並んで待っていた。昨日から並んでいた人もいたみたいだったが、4時間前到着で一番前は確保できるようだった。
  
 いよいよライブが始まる。音楽が流れると歓声がおこる。客は最高潮の雰囲気。
 「いえーい。」
 「natu」
 「わーい。」
 natuがオープニング曲を歌い始める。客は一気に興奮状態。一番後でやはりぎりぎりで間に合った良太が満足そうな顔で立っていた。

 
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