楓先輩大好きです!!!!!!

 屋上の扉を開けるとそこにはフェンスに寄りかかっている先輩がいた。


 先輩は私に気づくと私に向かって歩いてくる。


 私も少しづつ先輩に近づく。


 先輩と私の距離が腕一本分になったところで私も先輩も止まった。
  

 ────────………。


 無言で私を見つめる先輩の視線がとても苦しい。


 「…………んね…」


 「……え?」


 先輩がいきなり口を開いたのでよく聞こえなかった。


 「せ、先輩?きこえません。」


 「……昨日はごめんね…」


 先輩は私を真っ直ぐ見つめて言う。


 心臓が飛び出しそうないきおいでドキドキしてる。


 私がなにも言わないからか、先輩は斜め下に視線を落とし少し悲しそうな表情を見せた。


 初めてみる先輩の表情にまたまた心臓が飛び跳ねる。


 こんなに惚れてるなんて……


 改めて思ってしまう。


 「…………みずき…やっぱり、怒ってる」


 えっ……?


 先輩……私のこと

 
 「みずきって呼んでくれてるんですか?」


 先輩の話を無視して(したわけじゃありません。)聞いてしまった。


 「……あ……ごめん、…やだ?」


 ドキンッッ!!!!!!


 先輩が首を傾げて聞いてくる。


 今日の先輩……いつもと違う。


 気がする。


 「い、いやじゃありません!そ、そのうれしくて……」


 先輩は一瞬、えっ?って顔をしたけど、いつもの無表情を少し緩めて


 「……良かった。…」


 と呟いた。


 そこからまた沈黙が流れる。


 雲はそんな私達を流し目でみながら通り過ぎていく。


 そのとき、先輩が口を開いた。


 「……俺のこと……嫌い?」


 ドキンッ。


 いきなりそんな事聞くもんだから私はドキドキが収まらない。


 なんて言えばいいのだろう。


 私は先輩のことが……


 好き。


 スッゴく好き。


 でも。


 こんなこといったら引かれるから……


 絶対言えない。


 だとすれば……


 「嫌いじゃないですよ。」


 と言うしかなかった。


 先輩はまたいつもの無表情に戻り


 少し悲しげに言った意外な一言。


 「……俺と……同じ想いじゃないんだ……」


 そう言って先輩は私の横を通り過ぎていった



 やがてドアが閉まる音がした。


 俺と同じ想いってなに?


 私はなんて言えば良かったの?


 私はその場に座り込んだ。


 先輩……


 全然わかんないよ………。


 私は頬を伝う雫をそっと拭った。



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