【完】 Squall ~いくつもの恋をして~
駅とは反対の方向へ曲がると信号があり私は通りを渡った。
チカチカと点滅を始めたころ小走りで課長が横断歩道を渡り終え
すぐに手をあげてタクシーを停めた。
「あはは」
乗ってすぐに笑いだした私に優しい顔で微笑むと
ギュッと私の手を握り
「Happy to see me? 」(逢いたかった?)
毎日逢っているのに何を言っているんだろうと思う。
だけど課長じゃなくて健人にってことなんだと思う。
毎日の電話じゃやっぱり足りない。
「Yes,Can we meet more often?」(うん、もっと逢えないの?)
笑いながら答えれば
「Agree.」(同感)と握った手の指先を絡める。
タクシーの運転手さんに英語は通じないだろうと信じて
ジョーク混じりの愛の囁き合戦。
これが理解できたらと思うと可笑しくて可笑しくて
愛の囁きなのに課長と2人で吹き出しながらだ。