【完】 Squall ~いくつもの恋をして~
何も明日ボストンへと行くわけじゃない。
それなのにお互いの身体が離れることを拒み続けた。
離れる事の怖さを掻き消すように
何度も何度も求めあって
「この状態で出勤とか考えられない」
「トライアスロン完走後だな」
朝食すらとる時間がなく
出勤途中のカフェにすら寄る時間もない。
「ご飯食べなくて平気?」
「空腹すら感じないほどの疲労感」
「あはは。同じく」
会社についてロッカーへとバッグを置くと
そのままコーヒーを入れて
「Would you like some coffee?」
懐かしい英語で課長に語りかけ
「Yes Please」
苦笑いで課長が答える。
出勤してきたみやちがこれまた寝不足の顔をしていて
飲みかけの私のカップを差し出し
「Would you like a cup of coffee?」
「thank you」
そのままゴクリと口にした。
「あさり、砂糖とミルクが入ってねぇのはわざとか」
「それ、私の飲みかけだから」
みやちは、ハッとして手にしたマグカップを見ると
「横取りしたか」
「間接キスってとこに反応してよ」
「砂糖とミルクがないって事の方が気になる」
いつもと変わらないそんなやりとりにクスクスと笑い合う。