お前のこと、一生かけて守るよ
「いや?」
「えっ?えっと……あの……」

突然そんなこと言われても困る。あたしは純粋にイルカを見ていただけだし…。

急にしよっかと言われて、そうですねなんて言えるような女でもない。

でもなんと答えていいのやら、困ってしまう。

好きだから嫌ではないし、でも断るのも違うし、だからって目を瞑るのも恥ずかしいし…。

「ここ…たくさん、人いますよ……」

あたしが答えられることは、これくらいだった。

だけど先輩は顔色一つ変えることなく。

「みんなイルカしか見てないって」
「そう、ですけど……」

確かにあたしたちを見てる観客なんか、どこにもいない。

仮にどこかのカップルがキスをしていても、あたしはイルカに夢中で気付かないと思う。

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