委員長に胸キュン 〜訳あり男女の恋模様〜
「えっ? そんな事まで知ってるんですか?」

「知ってる。聞いたから。って言うか、そうじゃないかなって思った。昨日の朝」

「はあ……」


 真琴さんが何を言いたいのかわからない。しかも考えようとすると、頭がボーッとしてしまう。


「しっかりしてよ。前より強い薬を飲まされてるんじゃないの?」

「それはないよ。前より軽い薬だって言ってたから……」

「そんなの、怪しいもんだわ」

「真琴さん……」


 頭がボーッとしてるだけでなく、頭痛までしてきて僕はこめかみを指でグリグリやった。


「ほんの一瞬だったけど、昨日の朝のあなたが本当のあなたなんだと思う。変な薬さえ飲まなければ、あなたは本来のあなたに戻れるのよ」

「本来の、僕……」

「そう。急に色々言ってごめんなさい。たぶん今は頭が混乱してると思うけど、とにかく薬を飲むのは止めた方がいいと思う。お母さんには内緒でね」

「ん……」

「じゃあ、帰るね。お母さんには私が来た事、内緒にしておいて?」

「あ、ああ」

「じゃあね。また来る」


 真琴さんはスクッと立ち上がり、足早に帰って行った。僕は頭痛がますます酷くなり、彼女を見送る事も出来ずソファで横になった。

 本当の自分、かあ。

 今は考えに集中出来ないが、後でよく考えようと思う。真琴さんが言った事の意味を……

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