委員長に胸キュン 〜訳あり男女の恋模様〜
「なに? それはどういう事だよ?」

「解らないかなあ。わたし達の親は離婚したって事よ」

「離婚? つまり、あれか? あの田村さんとおふくろは、かつては夫婦だったと。という事は、田村さんは俺の……おやじさんか?」

「そういう事」


 なんて事だ……

 俺はあまりの事に、一瞬だがめまいを覚えた。先日、田村さんと二日間一緒にいたが、もちろんあの人が父親だなんて全く気付かなかったわけで、いくら記憶喪失とは言え、自分の父親をすっかり忘れるなんて事が、あるんだろうか……


「びっくりした?」

「あ、ああ」

「大丈夫? 今日はこのぐらいにしとく?」


 真琴さんは、心配そうな顔で俺の顔を下から覗き込んだ。たぶん、俺の顔は蒼白になっているのだと思う。しかし、中途半端でやめてほしくなかった。今日、この場で、俺は全てを知りたいのだ。俺の過去の、全てを……


「いや、大丈夫だから、話を続けてくれ」

「でも、顔が真っ青……」

「いいから話せよ!」

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