委員長に胸キュン 〜訳あり男女の恋模様〜
 あまり見たくはないのだが、仕方なくもう一度画像に目を落とした。

 桐島さんの横に写っているその男は、歳は桐島さんより少し上だろうか。茶髪で目付きは鋭く、いかにもワルの遊び人という感じだ。

 つまり、桐島さんとはまるで釣り合わないと思われ、桐島さんの元カレとは思えない。いや、思いたくない、と言うべきか……


「誰だよ、こいつ……」

「誰だと思う?」

「知るわけねえだろ、こんなやつ。憶えてないだけかもだが……」


 そうだった。俺は人に関する記憶がないんだった。という事は、この男を本当は知っているのかもしれない。しかし阿部君とも違うし、中央高にはいないタイプの男で、少なくても俺と仲が良かったとは考えにくい。イケメンではあるのだが……

 そう言えば、桐島さんには弟さんがいると言ってたな。


「もしかして、桐島さんの弟とか?」


 だとしたら、俺としてはありがたいのだが、真琴はあっさりと首を横に振った。ま、確かに年下には見えないな。


「まさか、桐島さんの元カレ、って事はないよな?」


 今度も真琴が否定してくれる事を期待して言ったのだが……


「そういう事になるのかな」


 ガーン、と音がしたようだった。変な言い方ではあるが、真琴は否定してくれなかった。こんなやつと、桐島さんが付き合っていたなんて……

 あ、そうか。こいつが桐島さんが2年の時に付き合っていたという、東高の田村もしくは田中ってやつなんだな。

 
「お兄ちゃん、いいかげん気付いてよ」

「はあ? 何をだ?」


 ただでさえショックで不機嫌なところに、真琴の生意気な言い方に俺はカチンときた。


「お兄ちゃんは玲奈さんと付き合ってた。わたしがどんな人か教えろって言ったら、その画像を見せてくれた。そのお兄ちゃんが、わざわざ他の男と写った玲奈さんの画像を、わたしに見せると思う?」

「えっ?」


 確かにそうだ。という事は……


「こいつは……俺なのか?」


 まさかと思ったが、真琴は真面目そうな顔でゆっくりと、だがしっかりと、頷いた。

 ちょっと待て。そんなわけない。だって、こいつと俺じゃ顔がぜんぜん違うだろうが!


< 139 / 227 >

この作品をシェア

pagetop