委員長に胸キュン 〜訳あり男女の恋模様〜
 2階には洋室と和室の部屋が2つずつあるらしく、廊下の左側にドアが2つ、右側には開き戸がやはり2つあった。


「お兄ちゃんの部屋、どこかわかる?」


 俺の部屋はおそらく洋室だろうと思うが、2つある内のどっちかがわからない。うーん、と記憶をたどろうとしたが、全く思い出せなかった。


「こっち側のどちらかだとは思うが、どっちかわらない」

「そっか……。えっとね、ここだよ」


 真琴が指差したのは、すぐ手前のドアだった。


「入ってみてよ?」

「あ、ああ」


 そのドアノブを握って回すと、当然ながらドアに鍵は掛かっておらず、なんなくスーッと内側に開いた。

 部屋の中は、眩しいぐらいに明るかった。南向きの部屋らしく、レースのカーテン越しに陽射しが差し込んでおり、たちまちムッとするような熱気に襲われた。


「エアコン付けなきゃね。えっと、リモコンは……」


 そう言って、試すような目で真琴は俺を見たが、リモコンの位置など俺は知る由もなく、黙って首を横に振った。


「ああ、これか……」


 真琴は、部屋の真ん中にあるガラスのローテーブルの上からリモコンらしきものをつまみ上げ、ピッとボタンを押した。そこにあるのを、本当は最初から知っていたようだ。

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