委員長に胸キュン 〜訳あり男女の恋模様〜
 なぜだろう。どうして私は相原君に会える事がこんなにも楽しみなんだろうか……

 ああ、そうか。彼は友達だからだ。友達に会うのが楽しみって、しごく当たり前よね? ましてごく最近まで私には友達らしい人は一人もいなかったのだから。うん、そういう事だわ。たぶん。

 そんな事を考えたり、スカートにしようかパンツにしようか迷ったりで、家を出るのがだいぶ遅れてしまった。結局はパンツにしたんだけどね。貴志の助言もあって。「絶対ズボンにしろ」って、助言というより命令だったけども。


 電車に乗って、4つ先の相原君がいつも乗り降りする駅に着いたのは約束の1分前。私は駅の階段を駆け足で上がって降りて、喫茶店に駆け込んだのは時間丁度か、少し遅刻かもしれない。

 ゼエゼエと荒い息をしながら店内を見渡すと、よく私たちが座る窓側の席に相原君はいた。やっぱり待たせちゃったかあ。

 相原君は、いつも真面目な彼らしく、脚を揃えて姿勢良く座り、いくぶん眩しそうな顔で私を見ていた。


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