委員長に胸キュン 〜訳あり男女の恋模様〜
「ちょっと、君!」


 咄嗟に僕はその少女に声を掛けていた。内気な僕にしては珍しいなと自分でも思うのだけど、少女が気の毒で放っておけなかったんだ。でも、どうせスルーされるだろう。そう大きな声を出したわけでもないし、少女は先を急いでいたから。

 そう思ったのだけど、意外な事にその少女はピタっと足を止めた。そして、クルッと僕を振り向いた。僕は驚いてしまったけど、ボケっとなんてしてられない。そうしている間にも、彼女が濡れてしまうから。


 僕は慌てて彼女に近付き、彼女を傘に入れてあげた。いつも鈍臭い僕にしては、まずまず素早い行動だったと思う。

 傘は折りたたみの小さめな物だったから、彼女をしっかり雨粒から守ってあげるには、それ以上ないというぐらいに僕達は接近しなければいけなかった。そして、無駄に広い僕の肩や背中が彼女の代わりに濡れるかもだけど、そんな事は気にしなかった。

いや、気にするのも忘れていた、と言った方が正しいかもしれない。なぜなら……


 間近に見る彼女の、そのあまりな可憐さに、僕の目は釘付けだったから。

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