委員長に胸キュン 〜訳あり男女の恋模様〜
「そんなに僕の授業は退屈かな?」

「え、いいえ、そんな事は……」

「よそ見してるって事は、こんな問題は軽いって事なんだろうね?」

「いやあ、それは……」


 黒板を見ると、何やら数式が書いてあった。それは一見するとごくシンプルなのだけど、なんと5次方程式だ。


「だったら、ここに来て解いてもらおうかな」

「あ、はい……」


 仕方なくおもむろに立ち上がろうとしたら、


「謝っちゃいなさいよ」


 と桐島さんが小声で僕に言ってくれた。


「う、うん……でも、その前にやってみるよ」

「バカね、解けるわけないじゃない。東大で出題されたのよ?」

「あ、そうなんだ……」


 桐島さんはそう言うけど、なんか、解けるような気がして、僕は黒板の前に行った。


「はい、どうぞ」


 講師は、白いチョークを僕に手渡し、フンという感じで鼻で笑った。“どうせ解けるわけがない”という事だろう。


さてどうしようかなあ……

 僕は黒板に向かい、考えた。もちろんこの問題を見るのは初めてのはずだけど、解けそうな気がしてならないんだ。えっと……

ああ、そうか。こうすればいいんだ。


 僕はある事を閃き、それに従ってススッて感じで黒板に数式を書いて行った。そして……答えらしきものが出た。


「先生、これで合ってますか?」

「……あ、ああ、合ってる」


 背後から『おー!』という感じのどよめきが聞こえた。

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