委員長に胸キュン 〜訳あり男女の恋模様〜
「私はここで食べるから……」

「ここでって?」

「お弁当だから」

「あ、ああ、そうなんですか?」


そうかあ……

 僕は塾に食堂があるとの事で、迷わずお昼はそこで食べる事にしたのだけど、桐島さんは弁当を持参していて、教室のここで食べるらしい。

 せっかく桐島さんと一緒にお昼を、と思ったのに残念だ。よし、明日からはコンビニでお昼を買って来ようっと。

 ちなみに、料理をあまりしない母に弁当を頼む事は出来ないし、自分で作るなんて事は論外だ。



「あ、そうだ。桐島さん……」


 食堂に行こうと席を立ちかけたが、ある事を思い出して桐島さんに声を掛けた。


「何よ?」

「あの、もしかしてですけど、熱とかあるんじゃないですか?」

「どうして?」

「だって、頬とか耳のあたりが赤かったから……」


 そう。授業中に彼女の横顔を見ていて、そう思ったのを思い出したのだ。でも、今の桐島さんの顔色は違うような……でもないな。

 もう桐島さんの顔は赤くないと思ったのも束の間、またもや頬や耳のあたりが赤く染まったように見えた。


「あなたのせいでしょ?」

「えっ?」

「私をジロジロ見るから……」

「はあ……」

「……早く行きなさいよ!」

「は、はい!」


 なぜか桐島さんは怒り、僕は慌てて席を立ち、教室を出た。


 今日は桐島さんに二度も怒られてしまった。でも、ちっとも嫌な気持ちにならないし、むしろ嬉しいと思う僕は変態なのだろうか。たぶん僕は、例え怒りとは言え、桐島さんに他ならぬ僕が何らかの影響を及ぼした事。その事実が嬉しいのだと思う。

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