委員長に胸キュン 〜訳あり男女の恋模様〜
 と言っても、それは少しの間の事で、


「私はアイスコーヒーにする」


と桐島さんは言い、


「じゃあ、僕も……」


という事で、店員さんを呼んでアイスコーヒー2つを注文した。


 その後、桐島さんは屈んでバックを開き、中から数学のテキストとペンケースを出し、テーブルに乗せてページを捲りだした。

 そんな桐島さんを正面から改めて見て、やっぱり可愛いなと僕は思った。授業中に横から見てそう思っていたけど、正面からちゃんと見て、ますますそう思った。


 雨の日に出会った時の桐島さんは、“可愛い”を通り越した可憐さがあったけども、今の桐島さんも十分に可愛い、と僕は思う。眼鏡や、冷たい表情や話し方で幾分イメージを損ねているかもだけど、ちゃんと見れば……


「あまりジロジロ見ないでくれる?」

「あ、ごめんなさい……」


 マジマジと見てた僕も悪いけど、桐島さんももうちょっと優しく言ってくれたらなあ。

 でも、怒った顔をしていても、頬の辺りがピンクに染まった事に僕は気付いた。そう言えば、授業中に僕が横からジッと見てた時もそうだった。

 桐島さんって、イメージとは裏腹に、案外シャイなんじゃなかろうか……

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