委員長に胸キュン 〜訳あり男女の恋模様〜
「私達、お互い卑下してばかりね?」

「そう言えばそうですね」

「もうそういうの、やめようか? 虚しいだけだから」

「はい、賛成です」

「うふ」


 あ、今度は声に出して笑った……


「相原君ってすごくいい人なのね?」

「そ、そうでしょうか……」

「だと思うわ。ねえ、怒った事ってあるの? ないでしょ?」

「怒った事ですか? ん……ないかもしれません」


 と言っても、あくまで記憶にないという意味だ。僕の霞が掛かったような、曖昧な記憶には……


「やっぱりそうなんだ? すごーい……」

「そうですか?」

「すごい事だと思う。私ね、白状しちゃうとね……」


 桐島さんはそこでいったん言葉を切った。言うか言うまいか、迷ってるみたいだ。それで僕は余計に気になった。桐島さんは、いったい何を白状してくれるんだろう、と。


「桐島さん……?」

「誤解しないでほしいんだけど、私ね……あなたの声が好きなの」

「声、ですか?」

「そう、その声」


なんだあ、声か……

 特に何かを期待したわけじゃないけど、声を好きと言われても、だから何だよって感じだよなあ。

 しかも“誤解しないで”って事は、声だけが好き、って事だろうしなあ……


 いやいや、たとえ声だけでも、桐島さんに好きでもらえたらいいんじゃないか?

 うん、そうだよ。そう思う事にしよう。

 でも変だなあ。僕の声って自分ではよくわからないけど、少なくてもいい声だなんて、人から言われた事はないんだけどなあ……

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