委員長に胸キュン 〜訳あり男女の恋模様〜
 と思ったけども、桐島さんは立ち上がったりはせず、それはなさそうで僕はホッとした。

 そして桐島さんは赤い顔のまま僕をジッと見つめ、口を開いた。


「相原君って……変わってるね?」

「え?」

「私なんか、ちっとも面白くないのに……」

「そ、そんな事は……」

「ううん、そんな事ある。自分が一番解ってるから。ネクラで怒りっぽくて、全然可愛げがなくて。勉強だけが取り柄だと思ってたけど、それも阿部君やあなたには敵わないみたいだし……」

「それは違うよ。あの問題が解けたのはたまたまなんだ」

「ううん、そんな事ない。数学ってまぐれじゃ出来ないもの。あなた、今は隠してるみたいだけど、本当はすごく優秀なんだと思う」

「そんな事ないって……。仮にそうだとしても、だから何だって話だよ。僕なんて鈍くさくて、主体性がなくて……」

「あ、それはごめんなさい」

「いいよ。自分でもそう思ってるんだ。男として、情けないけどね……」


 しばし見つめ合った後、なんと、桐島さんがフッと微笑んだ。

 今度は勘違いなんかじゃなく、本当に微笑んだ。文字通り微かな微笑みかもしれないけど、僕にはまるで、パッと花が咲いたように見えた。

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