LOVE or DIE *恋愛短編集*
中塚弘樹――Lokiがアップする画像に、真希はよくコメントを付けていた。
会話は2ラリーほど続いて、自然に途切れる。

彼と真希との間に、ずっと昔に旅先で偶然出会った共通の趣味仲間、という以外の認識や関係が育っていく気配はなかった。



真希は30を目前に、会社の先輩と結婚した。
彼女が運転を好まない都会育ちのペーパードライバーを選んだことが、私はどうにも腑に落ちなかった。


当然のように新婚旅行を国内の車旅に決めたのは真希だ。

その新婚旅行先に勝手に鳥取を選んだのも真希で、彼女の夫となった人は彼女の希望に反対意見を述べるタイプの人ではなかった。

国内で唯一通過すらしたことのなかった最後の県へと、真希とその夫は真希の車で向かった。
真希の運転で。



何かひとつでも違えば、こんな結果にはならなかったと思う。


例えば真希がもっとLokiとコンタクトを取って、直接会って彼と親睦を深めて、それが恋愛に発展していたら。

例えば真希が、趣味の合わないペーパードライバーなんかを結婚相手に選ばなかったら。

例えば真希の夫が、新婚旅行の行先をどこか国外や――せめて彼女1人の運転任せになんかならないよう、意見してくれていたら。




真希には多分、長距離運転の疲れが出ていた。
そうなると運転に集中力を欠くところが、元々彼女にはあった。

運が悪かった、と言えばそれまでだ。

対向車線から飛び出してきた居眠り運転のトラックを、普段の彼女の運転なら避けられたかもしれない。


車じゃなければ。
ドライバーが1人じゃなければ。
行先が鳥取じゃなければ。
結婚相手があいつじゃなければ。




真希とその夫は、新婚旅行から帰って来なかった。
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