LOVE or DIE *恋愛短編集*

第六章

悠太は8月末に行われる、県内の優秀選手を集めた選抜交歓大会の選手として選ばれていた。
県内を3ブロックに分けてリーグ戦を行うこの大会に出るのは、西中では悠太1人である。

レベルの高い選手が集まりブロックごとにチームを作って競う。
普段の悠太なら、喜んではしゃいだに違いない。


しかし、選抜の知らせが届いた頃、悠太は自宅に引きこもっていた。


バスケを始めてからというもの、悠太は学校を休んだことがなかった。
毎日バスケがしたい、ただそのためである。
その気持ちからか風邪をひくこともなく、健康だけが取り柄と、悠太の母は馬鹿にしたように笑いながらもそれを自慢にしていた。

悠太が自室に引きこもったとき、はじめは尻を叩いて外に出そうと試みたが、悠太の落ち込み様に気付くと口をつぐんだ。
関東大会での惜敗を知っていた彼女は、下手に慰めの言葉をかけることを躊躇った。

それに―――、関東大会の前から息子の様子がおかしかったことに、彼女は気付いていた。



息子の幼馴染である柏木 彩萌が心配して家を訪ねてきたのは、悠太が休み始めてから3日目のことだった。
< 242 / 301 >

この作品をシェア

pagetop