LOVE or DIE *恋愛短編集*

エピローグ

佳織との思い出は簡単には色褪せなかったが、いつまでも引きずる事はなかった。

本当はだいぶ早い時期に―――あの河川敷で彼女を見たときから、分かっていたからかもしれない。



いつもより美しく着飾った彼女は、隣にいる男に肩を触られて、悠太には見せたことのない幸せそうな顔をしていたから。



最後に彼女の頬に触れた感触は、一生忘れられないかもしれない。

それでも、今となっては悠太の中には、彼女が思い人と上手くいくように願う気持ちのほうが強くなっていた。



―――ケジメは付けた。

机の引き出しにしまいこんだ借りっぱなしの夢占いの本を、もういい加減返そう。
自分にはもう、用はない。

そう思った悠太は、最後にもう一度その本を開いた。


そして、大事な部分を見逃していたことに気付く。


『あなたが恋愛に持つ綺麗なイメージを、相手に押し付けていませんか?』
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