LOVE or DIE *恋愛短編集*
言われてみれば、結局残ったのは、キレイな思い出だけだった。

彼女の内面に本当に触れることができたのは、あの、最後の一瞬だけだったのかも知れない。


おかしくなって、悠太は部屋で1人、声を出して笑った。

もしかしたら、占いに踊らされただけなのかもしれないな―――と、そう思いながら。




翌日その本を返そうとしたら、持ち主は「もういらない」と言ってきた。

「は?なんでだよ。俺ももう必要ないんだけど」

「だって、所詮は占いでしょ。結局、運命を決めるのは自分の行動だもの」

本を貸してくれた時との考え方の変わり様に唖然としながら、結局悠太はその本を押し付けられた。

やっぱり、占いなんてたわ言だ。


手元に残ってしまった本を見ながら、彩萌にでもくれてやるかな、と考える。
彼女がフリージアのページをめくる可能性に思い当たらなくはないが、【終わったこと】だと割り切ってしまえば、大した問題には感じなかった。
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