LOVE or DIE *恋愛短編集*
「あ、悠太」

彩萌の教室を訪ねると、彼女の方にも用があるようだった。

「なんか、お兄ちゃんが心配してたけど。『ター坊は最近元気か?』て」

彩萌の口から【ター坊】と言われるのは、なんだかすごく不快だった。

「お前、兄貴の口真似でもその呼び方はすんな」

と警告してから、なんで輔兄ちゃんが?と頭をめぐらせる。


彼とは1か月ほど前に、例のコンビニで偶然出くわしたのが最後だ。


―――もしかして、何かバレてた?


悠太が考え込んでいると、不意に彩萌が笑った。

「なんだよ」

「悠太のそのクセ、お兄ちゃんと同じ。考え込むと、下唇触るの」


言葉に詰まった。

それは確かに祐輔のクセで、子供のころに彼に憧れて真似をしている内に、いつの間にか悠太にうつったものだったから。
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