とりたいもの。
大嫌いな人類
「やほー、織くん、また授業さぼってきちゃったっ」
「そんなことして大丈夫なんですか。今年受験でしょうに。」
あの日舞い降りたしましまパンツ…、
赤守 雛深 先輩。
今年大学受験の、写真部部長の先輩だった。
最初は俺も拒絶していたが、毎日しつこくついてくるので、高校卒業までの3ヶ月だけ
一緒にいてやることにした。
雛深先輩は、写真専門の大学に入りたいらしく、綺麗な写真をたくさんとっていた。
今日もパシャ、とカメラの音が響く。
「写真とれるだけじゃ大学行けませんよ」
「えへへ、いいのー。授業めんどいからさっ!」
その辺に咲いてるタンポポを撮りながら、笑顔で話す先輩。
「織くん、みてみて!」
ふと先輩が手招きしたのでそちらにいってみると、綺麗な花が咲いていた。
「こんな花見たことない!綺麗ー」
「そうですね」
「織くん、相手するのめんどいだろ」
「何故バレたし」
正直、この先輩あまり好きじゃない。
俺の嫌いなものを詰め合わせた感じ。
笑顔、明るさ、人気者。
「俺の世界一大嫌いな人類です」
「口にでてるぞ、おい」
ぺちっと、おでこをたたく。
「写真なんて楽しくないです。」
「楽しいよー、えへへ」
冷たくしたのに、笑顔で返された。
思わずふっと笑うと、
パシャ
カメラが光った。
「今の、ナイス笑顔だよ!」
「やめてください」
笑顔を撮られるなんて、って思ってデータを消そうとした。
ふと先輩を見ると、俺の写真を見て、幸せそうな顔をしていた。

写真を消しますか?

この問いに、NOと答えた。
.........................................................................

「織くん、笑うとかっこいいね。綺麗。」
「そうですか」
その写真を無言で見つめていた先輩が、急にそんなことを言ってきた。
「ひな、もっと織くんのこと、撮りたい。」
「…は?」
そんなことを言われたのは初めてで、とてもびっくりした。

「織くん、もっとひなに、織くんのこと撮らせて。」

真顔でそんなこと言うもんだから。
俺は笑うしかないじゃないか。
ほんと、この人、大嫌い。

「二枚目、とーった」
意地悪に笑う先輩を見て、何故か心が軽くなった。
この瞬間、織は雛深に恋したのだが、それに気づくのはもう少し後になる。
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