Fake love(1)~社長とヒミツの結婚契約書~
《20》大切なモノ

―紗月side-

「あの言い方はありませんよね…」


「いいのよ。怜が大切なのはお腹の子供だけだから…」


「紗月…様?」


瀬川さんは、鳩が豆鉄砲を食ったような顔で私を見つめる。



「まさか、お二人はあの契約書通り…子供が生まれたら離婚するつもりですか?」


「そうですよ」


「呆れた人だ…」


「瀬川…さん?」


「今は時間がなくてお話出来ませんが…怜様は貴方を本当に愛していますよ…。いってきます」


瀬川さんは怜を追い駆けて、足早に出て行った。



―――――怜が私を愛してる…


間接的な言葉ではあるが、怜と常に行動を共にする瀬川さんの言葉…


希望は持てると思い、胸に淡い喜びが湧いた。

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