Fake love(1)~社長とヒミツの結婚契約書~

―怜side-

俺は紗月に秘めていた想いを伝えた。


「失礼します…」


俺は会長室を訊ねる。



「紗月さんの具合は?」



「おかげさまで、大事には至りませんでした…」



「それは良かったわ…」



叔母様は書類に目を通しながら単調な声で返す。




「叔母様…俺は神楽坂家の当主として、まだまだ…至りません…」



「そうね…怜貴方は当主としての自覚がないわね。兄と一緒で我慢が足りない…」



「俺を悪く言うのはいいですが…亡くなった父のコトまで悪く言わないで下さい…」


俺だって父のコトはいい風に思っていないが、叔母様には悪く言われたくない。




俺は紗月の為に叔母様に頭を下げて、確執を取り除こうと来たのに。


これでは、確執が深まるばかりだな…
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