Fake love(1)~社長とヒミツの結婚契約書~

―怜sideー

「初めまして、紗月の実の父親の佐川孝彦です」


「初めまして、紗月の夫の神楽坂怜です」



紗月の実父と名乗る中年男性が俺に面会を求めて来た。


面会する時間などないが、紗月の身内と言われたら邪険にも出来ず、社長室に通した。


しかし、紗月の父親の出で立ちは汚れた作業服に、何日も風呂に入っていないのか臭い匂いを漂わせていた。



「やはり、あの天下の『レオン』立派なビルですな…」



瀬川さんが黙ってコーヒーをお出しする。


「俺にどのようなお話ですか?」



「単刀直入に言う…お金を1000万程、貸して欲しい」



「・・・」






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