Fake love(1)~社長とヒミツの結婚契約書~
私達も一子会長の背中を追って社長室に戻った。



「怜…婚約者とは、どう言うコトかしら?」


一子会長はデスクに座って、書類に目を通していた怜様を詰る。


「叔母様にも何れ、紹介しようと思っていました。彼女の名前は角南紗月…俺達は近いうち…籍も入れます」



「私の許しもなく、入籍ですって!?どこの馬の骨か判らない小娘を神楽坂家の当主の嫁にするなんて…」



「身分なんて関係ありません。俺は彼女を愛しています!」


怜様の低い声には熱がこもっていた。


「ほら、おいで…紗月」



私は怜様に言われるままに近づいた。



怜様は椅子から立ち上がって、自ら手を伸ばして私をギュッと抱き締める。



彼の爽やかなフレグランスが鼻腔を擽った。


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