キミと帰る道






———なんて。





「あはっ…。 …ばかだなあ、私」





こんなときに限って。
どうでもいいことばかり思い浮かぶ。





そろそろ、帰らなきゃな。
雨はどんどん力を増していくから。
…このままじゃあ、ものすごくびしょ濡れになっちゃうもん。





進まなきゃ。
ゆっくりでもいいから。
少しずつでもいいから。





自分なりに進もう。






……そしてこのまま、藤谷くんが私のことを忘れちゃえばいいのになあ。
そしたら、ものすごく…嬉しい、けど。





やっぱりそれはそれで。
こんなにがんばったもん。
……悲しいや。





ふぅ、と一息吐いて。
家に向かって、早足で歩いて行く。






———ばいばい、私の初恋。





もう失恋しちゃったから。
次は叶えられるような恋ができたらいいなあ……。







きっと人は。



たくさん恋をして。
たくさん悲しんで。
たくさん辛くなって。


そして、また強くなって。




いつかは、素敵な人に恋をして…結ばれるんだと思うから。





それを信じて。
進まなきゃいけないんだ…。





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