キミと帰る道











運ばれてる間の救急車の中でも、いま〝手術中〟と書かれた部屋の前でも。





両手の拳をぎゅうっと握りしめて。
ただ、藤谷くんが生きてくれることだけを望んでいた。









「…すずちゃんっ!」





廊下を走る音と私の名前を呼ぶ声が聞こえて、私はゆっくりと声の聞こえたほうを見ると。





息切れをしている聖羅ちゃんと優芽ちゃんがこっちに向かって来た。





「ふたりとも……っ」




「すず! 大丈夫?!」




「光輝はどうなったの!?」





静かな廊下に声が響く。
…藤谷くんのことは、私にもまだわからなくて。
ただ、力なく首を横に振った。





「わかんないよぉ…っ。
ふぇ…。 私のせいで…私を庇ったから、藤谷くんが下敷きになっちゃって…」





運ばれてから、私は藤谷くんが生きてることを信じて涙を流さなかったけど。





…ふたりが来て、また涙腺が壊れた。





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