キミと帰る道





「すずがしっかりしてなくてどうするの?!」





優芽ちゃんが私の肩を揺する。





…そうだよね、私が…しっかりしなきゃだよね。





「すずちゃん。
いまはただ、光輝を信じよう?」




「……うん…!」





私は零れる涙をゴシゴシと拭った。





私がこんなんじゃダメだよね。
藤谷くんは私を助けてくれた。
私も藤谷くんを助けたい。





形ではなんもできないけど。
思うことしかできなくても。





…信じる。
藤谷くんが、目を覚まして生きていることを。




手術が成功して欲しい。




幸せのあとにすぐに振ってきた不幸だけど。
…それでも、もう信じるしかない。





「藤谷くん……」





何度でも。何度でも名前を呼ぶから。
生きていてください………。





藤谷くんが無事でありますように。





< 195 / 228 >

この作品をシェア

pagetop