キミと帰る道





商店街のおばさんやおじさんは、にこにこ笑顔の華菜に『久しぶりだねえ』とか『大きくなったわねー』とか声をかけて来る。





だけど、華菜にはわかる人でも。
俺にはまったくわからなくて。





きっと俺にとっては関係のないやつなんだと、無視していた。








すると八百屋のおばさんが、俺の前に立ちはだかった。





『華菜ちゃんはちゃーんと挨拶するのに。
光輝くんは挨拶しないの?
お兄さんでしょう、知り合いには挨拶をちゃんとしたらどうなの』





おばさんの存在はよく覚えてないけど。
俺には人を覚えられないけど。



華菜伝いの記憶だけは微かに覚えられていて。
特に…あの日の記憶だけは、知らない人もたくさんでてきているのに。





なぜか覚えていられてるんだ。





< 51 / 228 >

この作品をシェア

pagetop