嫌われ者に恋をしました

 雪菜が風呂を出てから髪を乾かし、ベッドに座って一息ついたところでスマホが鳴った。手に取ると隼人からだったから驚いた。

 何かあったのかな。緊急のことだろうか。もう10時半なのに。

「はい」

『雪菜?今、大丈夫?』

「はい。何かありましたか?」

『いや、そうじゃなくて……』

「?」

『すっごく煙草が吸いたくって一人じゃ耐えがたいから、話し相手になってもらえるとありがたいんだけど』

「それは……、かまいませんが」

 会社ではいつも躊躇なく強気なのに、そんな弱気なことも言うんだ……。私にしか見せない課長の一面?そう思うと嬉しくなった。

「……やっぱり、煙草をやめるのは大変なんですね」

『今日の今日だから、かもしれないね。やめるなんて考えたこともなかったから』

「本当にすみません」

『いや、いいんだ。いい機会だったんだよ、きっと』

 電話で話をすると、面と向かって話すよりも饒舌になってたくさん話せる気がした。

 いつもは会社の話しかしないのに、学生の頃の話をしたりして、課長が高校まで野球をやっていたことなんて聞いてしまった。
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