嫌われ者に恋をしました

 夜になって、やっぱり声が聞きたくなってしまい、電話をかけてしまった。こんな堪え性のない自分に本当に驚く。俺ってこんなんだったか?それほど雪菜に夢中なのか?

 電話の時、雪菜は少しお喋りになる。一緒にいる時もそうやってたくさん喋ってくれればいいのに。

 気がついたら他愛もない話を2時間近くしていて、まるで高校生の恋愛みたいだと思った。

「ごめん、もうこんな時間だね」

「いえ、なんかあっという間です」

「そうだね、本当はずっと喋っていたいんだけど」

「はい」

「こんな風に電話で話すくらいなら、そばにいたい」

「……はい」

「雪菜、明日はうちに泊まって」

「え?」

「一緒にいたいから」

「……はい」

 雪菜は承諾したが、本当は怖いのかもしれない。でも、こんな長電話をするくらいなら、そばにいて顔を見て話がしたい。

 もちろん、話すだけじゃなくて触りたい。そして何が嫌なのかを知りたい。明日は今日より冷静に対応できそうな気がする。雪菜には俺の意図は伝わっただろうか。
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