嫌われ者に恋をしました

 隼人が急に観覧車に乗ろうなんて言い出したから、なんかおかしいとは思っていた。でも、約束していたし乗ってみたかったから、雪菜はあまり深く考えず観覧車に乗った。

 ゴンドラがフワッと地上を離れたから、雪菜がワクワクして外を見ていると、隼人は突然立ち上がって雪菜の前に立ち、スッと床に片膝をついた。

 え……?なに?どうしたの?

「雪菜」

 隼人は雪菜の手をそっと取ると、雪菜を見上げた。

 なにこれ?向こう側には綺麗な夜景。本当に王子様みたい……。

 少しパニックになって何も言えないまま、ただひたすら隼人を見つめた。

「雪菜のことを愛してる」

「……」

 まばたきをして息を飲んだ。

「雪菜と出会って、俺は本当にたくさんの幸せを雪菜にもらったよ。雪菜を愛して、雪菜から愛されている幸せを毎日感じる。雪菜の笑顔を見ているだけで、俺はたまらなく幸せなんだ。
 俺が雪菜にあげられるのは普通の毎日かもしれないけど、それでも不安なんて感じることのない、幸せな毎日を過ごせるように努力する。
 これから先、いろんなことがあるかもしれないけど、雪菜が一緒にいてくれたら俺はきっと何でもできる。雪菜が一緒にいてくれたなら、きっと何でも乗り越えられる。
 雪菜のいない人生なんてもう考えられないんだ。雪菜を一生愛し続けると誓う。雪菜を一生守ると誓う。雪菜を幸せにすると誓う」

 これって、もしかして……。

「俺と結婚してほしい」

 隼人は指輪を取り出した。そんな指輪……いつの間に。

「誓いの指輪、もらってくれるかな」

 隼人は少しはにかんだように微笑んで、輝く指輪を差し出した。
< 402 / 409 >

この作品をシェア

pagetop