嫌われ者に恋をしました

 隼人はまた真剣な顔で雪菜を見つめた。

「もう一度聞くよ。俺と結婚してくれる?」

「はい」

「良かった。……雪菜っ」

 雪菜がうなずくと、隼人は座っていた雪菜をそのまま抱き上げて抱き締めた。ゴンドラが少し揺れて、雪菜は驚いて隼人にしがみ付いた。

「きゃあっ、こ、怖いです」

 隼人は雪菜を抱き上げたまま椅子に座って、雪菜を膝の上に置いた。

「ごめん、嬉しくてはしゃいだ」

「私も、嬉しいです」

 腕の中に包まれた感触を感じながら、抱きついて頬をすり寄せた。隼人さんとずっと一緒にいられる。この幸せをずっと感じていられる。

「……隼人さんが私を幸せにしてくれるなら、私も隼人さんを幸せにします。お互いにお互いを幸せにするのです」

「うん、……そうだね」

 隼人は雪菜を強く抱き締めた。抱き締めたまま息を吸って言葉を続けた。

「ここまで承諾を取っておいて、こんなことを言うのもなんなんだけど……」

「?」

「……ズルい俺を許して」

「え?」

 やだ、何?

「雪菜、仕事は続けたい?」

「……?専業主婦になってほしいということですか?」

「いや、そうじゃないんだ」

 じゃあ、ズルいって何だろう……。ドキドキするからやめて……。
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