好きからヤンデレ
それから今の感覚を失う寸前をうろちょろしながら、私はだんだん意識がなくなった。







「そらみ。」



そう呼ぶ声は、小さい頃のとうまの声で、
なんか懐かしかったのに


辛かった。



目を開けるとそこは、満天の星空で、床はタイル張り。


どうやら、大きなデッキらしく、そこがどこだかすぐに分かった。




「斗真。」



隣には、懐かしい彼もいた。



「ごめんなぁ。」



私に目を合わさず、寝転んだままの彼は星を眺めていた。



「何がごめんなの。好きだよ。私どうしたの。どうして...あ」




たまがいたい

あたまがいたい。




キリキリと痛む脳は、
膨大な量の情報を整理しきれずに
叫びもがき苦しんでいる。



「空実!?空実!?」



この世の終わり

そう思わせる彼の心配な顔はとても私を思ってくれていると確信した。



痛みも
ただのかゆみしか感じなくなって、
私はそっと彼に寄り添った。



「大丈夫だよ。」



もう、なにも考えないでおこう

斗真がいれば大丈夫じゃない。
私は一人じゃないんだし



「こうなったのは全て俺のせいだよな。ごめん」


このデッキで
ごめんなんて口にするの
何回目なの斗真?



いつも、遊んだ広い庭。

いつも怪我されて
怪我させて


二人で謝りあったね。





「ダメだよ。星が涙で見えなくなっちゃう」




「星なんかみなくていい。」



俺を見ろよ。

そう言って私を抱き寄せた彼は


「暖かい」


泣いていた。


私は斗真か
どっちの涙かわからないけど

冷たいのに少し生ぬるくて

このまま二人でどうやって生きていくのなんて不安を解消することができない。



「もっと近くに来て。もっと空実の顔を見せて。」



私から流れる涙をぬぐいながら、顔にてを回した彼は、私を彼の胴体に載せた。



「ぁ。」



星より空実がきれい。


なんていう彼だけど、

見てしまったんだ。


ぼやける視界の先で流れる流星。


その線が
一本の光となって
やがて赤く染まり




「斗真。私、数ヶ月前、夢を見たんだ」



斗真の心臓に耳を当てながらつぶやいた。



「大好きだった人がね、赤くそまったの。」





昔の話。




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