近未来少年少女


カオリはリーダーの家を出た後、ずっと俺の事を待っていたらしい

って事は…けっこうな時間待ってたのかな?

悪い声をしたな…と思い、とりあえずカオリを家の中に入れた


この街の生活にも慣れてきたと言っても相変わらず俺の部屋は何もない

でも俺の意思としては、部屋に何も置きたくなかった

それはゴチャゴチャした部屋が嫌だとかそんなんじゃない

ただ俺は……この家を本当の家にしたくないだけ

生活道具や日常必需品を買えば、嫌でも生活感溢れる部屋になるし、きっと暮らしやすくなるだろう

そうなってしまう事がものすごく怖かった


お金もなく、好きな物が買えてしまう世界だけど……
俺はあの家に帰りたい


ずっと欲しかったパソコンもなければ、ベッドだってフカフカじゃない

家だって築何十年も経ってるし、風呂だって狭い

不便で不満だらけだったあの家に俺は帰りたいんだ



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