近未来少年少女


…………………………
………………
………


辺りがだんだん暗くなり、俺は帰る準備をしていた


『………』

それをミノルは寂しそうに見つめている

俺はガサガサと袋を漁(あさ)り、“ある物”を手に持った

それは………サッカーボールの形をしたガム

ここに来る前に駄菓子屋のおばちゃんがくれた物だ


『はい』

俺は迷わず二個ある内の一個をミノルに差し出した


『……なに?』

ガムを掌で受け取り、ミノルは首を傾げた


『駄菓子屋のおばちゃんがさ……』

一秒、二秒、と間を開けて


『このガム“友達”と食べなってくれたんだ!』

と俺は照れながら言った


俺の言葉を聞いてミノルはただじーっとガムを見た

そして一言『ありがとう…』と言った


少し声が震えて聞こえたのは気のせいかな……?



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