近未来少年少女



“友達”


俺は“上手いね”と同じように“友達”も思ってなくても言える言葉だと思ってる


同じ学校に通ってたら友達?

同じクラスになったら友達?

会話をしたら友達?

名前を呼ばれたら友達?

一緒に遊んだら友達?

サッカーを教えてと言われたら友達?


俺はどこから友達と呼んで、どこから友達と呼べないのかその境目が良く分からなかった

みんな呼び捨てで呼び合ってるのに俺だけユウキ君と言われる事も

学校でサッカーを教えてと言われるのに、休日遊ぼうと言われない事も


ちっぽけで些細な事なのに、友達と思ってるのは自分だけなんじゃないかと不安になる


だから俺は簡単に“友達”という言葉を口に出したくない


ミノルを見た瞬間、俺と同じ目をしてると思った

ミノルの事はまだ名前しかしらない

でもこれだけは分かる


ミノルは絶対に“友達”という言葉を軽々しく口に出さないと思う


友達と食べなと渡されたサッカーボールのガム

それを迷わずミノルに渡したのは……決して軽い気持ちじゃなかった


ミノルとなら本当に本当に“友達”になれる気がした

ううん、俺がなりたかった

俺がミノルと友達になりたかった


学校では話せない、家では話せない話しを………

ミノルとなら話せると思ったから


『じゃ、俺帰るよ』

そんな事を思いながらミノルに別れを言った


『……また僕を誘ってくれる?』

弱々しく言うミノルに対して俺は力強く言った


『当たり前じゃん』


それを聞いてミノルは嬉しそうに笑っていた

…………
………………



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