近未来少年少女



ミノルも黙って桜を見つめた後、冷静に言った


『仕方ないよ、永遠なんてこの世界にないんだから…』


“永遠なんて
この世界にない”

そんな事をミノルが真剣な顔で言うから………俺はすぐに反応出来なかった

ミノルはさらに付け加えた

『綺麗でも散ってしまえばそこで終わり』

その間にも、桜の花びらは一枚…二枚と散っていく


ミノルは俺と同じ歳なのに、大人びた事を口にする

今同じ桜を見てるのに、全然違う感情を持っていて……でも

『そうかな?散っても終わりじゃないと思うよ』

俺の言葉でミノルの考えは打ち砕かれた


『なんで…?』

ミノルは真剣な顔で俺に尋ねた



『だって心に残るじゃん』
俺の答えは即答だった


『こ…ころ…?』

ミノルは首を傾げ、俺の顔を見た


『うん、心に残れば例え無くなっても一生消えないよ』

桜は確かに今この瞬間も散っている

だけど俺の心にはしっかりと満開だった桜の木は記憶されているから消える事はない

ミノルは俺の言葉に答えず、ただ切ない顔をしていた

俺…なんか変な事言ったかな……?



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